芋穴のささやき
- Category 2020-
“Whispering of the Natural Refrigeration Hole”
short Film 4K CinemaScope 28min27sec 2022
本作は、「越後妻有 大地の芸術祭2022」に向けて約2年間の期間でリサーチ、ワークショップ、撮影、編集を経て完成した短編映画です。芸術祭では、Ongoing Collectiveの野外映像祭にて公開されました。
リサーチで新潟県に訪れた際に、穴、洞窟、坑道、水道に関するお話を聞き取りしていた中で、妻有の十日町に「芋穴」と呼ばれる食糧貯蔵庫があることを知りました。外気が入り込みにくい構造の穴の中の温度は、鍾乳洞のように安定していながら、トンネルと違い入口と出口が同一で、外界から遮断された護られた世界と捉えることができます。芋穴には、厳しい冬の山間の食料確保という生活様式が現れています。穴の話から初めて、地域の方々との関わりから紡ぎ出した声を皮切りに、過去から未来へとつながる言葉の集合体を映像で記録(貯蔵)したいと思うようになりました。「芋穴」を舞台に、ドキュメンタリーからフィクションへ、そして歌へとゆるやかに変容していく短編映画を地域の子供達とのワークショップを軸に制作することになりました。
ドキュメンタリーパートの主な要素は、芋穴の所有者への取材で構成。取材と収録から得られた要素を加え、穴の機能を超えた土着文化の価値を探る。また、今も使われている芋穴、千手観音、田園、山間風景も収録し、雪景色の撮影も実現しました。フィクションパートでは、地域の小学生6名との映像ワークショップが主な要素。芋穴近隣の集会所で、参加者の興味、考え、思い出、秘密、不安、夢をキーワードに「ことば」を引き出していった。そのことばをベースに、オリジナル合唱曲のための「歌詞の原案」を制作。ワークショップ自体の収録映像も作品要素となります。その後、ことばをモノローグ化して、本人の「肉声」で芋穴を舞台に収録しました。紆余曲折ながら軸を大切に進めてきた制作を通して、未だ続くコロナ渦で、子ども達の心の中に隠れている満たされない想いが節々で見え隠れしました。言葉にならないモヤモヤが、合唱と共に芋穴から大地へ解放されていく。そんな映画に成り得ていれば幸いです。
出演
ひろき、こはる、しょうご、りゅうと、はな、すみれ
小林 正夫、横尾 悠太、池田 諒
ワークショップ
2022年5月 「あなたのモノローグから歌をつくろう!」
2022年7月 「芋穴で歌を収録しよう!」
挿入歌
伝統曲 『鳥追い』 編曲 池田 諒
合唱曲 『知らない僕ら』 作詞・作曲 池田 諒
制作協力
株式会社 コバデン
三省ハウス
十日町市役所 川西支所 地域振興課
十日町市観光協会
新潟県十日町市中屋敷、儀明、峠
新潟県上越市
NPO法人 越後妻有里山恊働機構
アートフロントギャラリー
オンゴーイング・コレクティブ
ドローン撮影 竹中 義明
作詞・作曲・演奏 池田 諒
監督・撮影・編集 鷺山 啓輔
「Ongoing Village~進行形の村~」:Ongoing Collective、三省ハウス、越後妻有 大地の芸術祭2022(新潟)にて上映